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不器用な夫
第19章 誠意



ハコと話をしなければ…。

もし、離婚するなら国松の呪われた体質の説明は必要ない。

ただハコが居なくなる喪失感に僕が耐えられるのかが不安になる。

まだ僅かな愛だと自分に何度も言い聞かせる。

よく眠れないまま朝を迎えていた。

午前中のハコは普通に見えた。

母と新しく作った浴衣の話をして


「花火の日が待ち遠しい…。」


と寂しがりの母と2人で遠足待ちの子供のようにはしゃぐ姿を見せていた。

そのハコが我が家に帰るなり穏やかな顔に変わり大人しくなる。

寂しい笑顔を僕に向けて


「真面目に試験勉強しなくちゃ。お義母様とした夏休みのお約束を破る事は絶対に出来ないから…。」


と言う。

だから食事の用意は公平にさせて欲しいと言うハコに嫌だとは言えなくなる。

ハコが僕を見ようとしない。

時々、目が合ってもハコは寂しい笑顔を見せて直ぐに俯いてしまう。

そんなハコに離婚しようとは言いづらく、僕は食事を作りに来た公平にしがみつく。


「どうすればいい!?」

「知りませんよ…。」


公平が呆れた顔で僕を見る。

初めての拙い恋に狼狽えるしか出来ない自分が情けないと改めて思う。

ハコにプレゼントでも…。

いや、花か?

それともデートを…。

試験中にそんな事をしても無意味だ。

僕だけが狼狽えて落ち着きを失くす中でハコは静かに勉強をする。


「ハコ…。」

「はい…。」


ノートから顔を上げずにハコが返事をする。


「試験…、頑張りなさい。」


父親の様なつまらない言葉しか出て来ない。

ハコが小さく頷いた。

食事をして風呂を済ませてベッドに入る。


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