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不器用な夫
第19章 誠意
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ハコが僕の隣に入って来る。
「ねえ、ハコ…。」
不安に怯える僕をハコが穏やかな顔で見る。
こんな事ならハコに怒りをぶつけられた方がマシだとか思う。
妻を満足に抱けない不甲斐ない夫だと罵られて捨てられた方がよほどいい。
ハコに掛けてやる言葉すら見つからずに俯いた。
そんな情けない僕の頬にハコの細い指が触れる。
チュッ…。
軽くハコの唇が僕の唇に触れる。
「愛してる。おやすみなさい。」
ハコがそれだけを言うと眠りにつく。
その寝顔が可愛くて僕はハコを愛撫して悦ばせたいとか考える。
だが興奮すれば、また公平頼りになり凹むだけになるとわかってる。
「ハコを愛してるよ。」
ハコの可愛い寝顔にキスをして寝る。
試験が終わったら…。
ハコに全てを話して藤原家に行こう。
それがハコを失わずに済む方法だと思う。
ハコがどれだけ傷付くかはわからないが僕にはその道しか残されてないと思った。
翌日もハコは大人しく勉強をする。
試験さえ終われば…。
1日中、その事を考えてハコを眺めるだけの休日。
ハコの邪魔だけは出来ないと静かにハコを見つめるだけしか出来ない。
好きな女の子に何もしてやれない不器用な自分が情けない。
「公平…。」
やはり夕食の用意に来た公平にしがみつく。
「坊っちゃま…、邪魔です。」
僕専属の執事にまで邪険にされる。
惨めだ…。
そう思うのに寝る前には律儀にハコが僕にキスをしてくれる。
「試験が終わるまで要さんには寂しい思いをさせてごめんなさい。」
子供のハコにそう言われて自分の立場を思い出す。
「情けない夫でごめんね。試験は今のハコならきっと大丈夫だよ。」
僕の言葉にふふふとハコが笑ってくれる。
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