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不器用な夫
第20章 秘密



来週から始まる三者面談の資料として必要な成績。

それは、そのまま一学期の成績として学生の評価に繋がる。

うちの学校は5段階評価でなくテスト平均点に素点を足すやり方を実施してる。

当然、100を超える子は優秀な学生。

果歩はそこに当てはまる。

ハコは今回頑張ったが80台の後半…。

約6割の学生がそういう成績であり、エスカレーターで上がれる短大合格ラインには収まってるという扱いにはなってる。

40以下は追試や補習対象であり、3学期までこの調子であれば留年、もしくは退学も有り得る。

僕の担当する学生は1通りが80台をキープしてくれているから三者面談は楽だと思う。

今日は本当に早く帰れそうだ。

そう考える。

古典の採点は全て終わっており、生徒に答案を返却済みにしてある。

職員室を出て教室に向かう。

今日の2教科の試験が終われば僕は早めに帰れるからハコとゆっくり話す時間が作れる。

僕の頭の中はそれだけでいっぱいだった。

無事に試験が終わって学生達がホッとする。

回収した答案を職員室に届けてから自分の教員室に向かい家に帰れる時間までを成績表の処理で時間を潰す事にする。

教員室の扉がノックされると同時に教員室に滑り込むセーラー服の少女に顔を顰める。


「三浦君…。」


今は試験期間であり生徒による教員室の立ち入りは禁止されてる。


「また…、先生って…、2人っきりになると直ぐにそんな顔をする。」


果歩がハコと同じ事を言う。

どうやら人に警戒心を懐くと僕は眉間に皺を寄せる癖があるのだろう。

だが警戒心を緩める事は出来ない。

同じセーラー服を着てても、この少女は果歩でありハコでないのだから…。

そう考えて果歩を睨むしかない。


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