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不器用な夫
第20章 秘密
ハコの髪を搔き上げてハコの顔に手を添える。
「ハコ…?」
軽く持ち上げたハコの顔…。
僕を見る大きな瞳…。
その目には目一杯の涙を浮かべてる。
「どうした?ハコ…?」
狼狽えるしか出来ない僕はハコの顔を何度も撫でてハコが泣く理由を尋ねる。
「酷いよ…、要さん…。」
ハコが声を震わせる。
「何が?」
「言ってくれれば良かったのに…、酷いよ。もう何も信じられないよ。要さんがハコの事を愛してないなら愛してないって…、はっきりと言ってくれればいいだけじゃん。」
「ハコ…?」
「ハコじゃ無理なんでしょ?要さんの奥さんとして…、国松の妻として…、ハコじゃ全然、無理だって事だよね!」
「それは違うよ。僕はハコを愛してる。」
「嘘は言わないで…、ハコなんか愛してないから秘密にしてたんでしょ!ハコなんかどうでもいいから話してくれなかったんでしょ!」
キレたようにハコが僕を責めたてる。
ハコにバレたと思い動揺する。
国松の呪いをハコが知った。
「あのね、ハコ…、その話は試験が終わってから、ちゃんとハコに話そうと思ってたんだ。」
「もういいよっ!どうせ、それがハコの為だとか言うんでしょ?ハコの為?パパもママもハコの為って仕事の方がハコよりも大事だったもん。要さんだってそうなんでしょ?」
「だから…、違うよっ!ハコ…、落ち着いて…。」
「わかってるもん。ハコなんか誰も気にしない。ハコは独りぼっちでも構わない子なんだよ。要さんもハコなんか要らないから秘密にしてたんだよね。」
興奮して大粒の涙をボロボロと流すハコにどうしてやればいいのかがわからない。