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不器用な夫
第22章 時間
7割がこんな感じで執事付きの学生は本人の自主性に任せるというパターンである。
たまに困るのは…。
「よく考えなさい。泉君…。」
僕は本人にそう言うしかない。
ほとんど学校に現れない学生。
両親は有名な舞台監督と女優という夫婦の一人娘。
三者面談の付き添いはマネージャーと名乗る謎の女性が僕に名刺を差し出す。
「高校の卒業資格だけを頂ければ海外の芸能学校に入学する予定になっておりますから…。」
と泉君のマネージャーが淡々と言う。
「その高校の卒業資格に必要な出席日数がギリギリだと言ってるのです。」
「あら、芸能活動がある場合は出席日数はそれなりに免除されてるんじゃありませんか?」
「うちの学校に日数免除はありませんよ。」
一部の学校でなら夏休みに補習を受ける条件で芸能活動を認めてる学校があるが、うちはアルバイト禁止のお嬢様学校であり、芸能活動はアルバイトとして認める事が許されない。
そもそも、泉君が芸能活動?
彼女はせいぜい大女優の家族として、たまにテレビ出演をする程度だ。
それも日本ではほとんど知られていず、海外のローカルテレビにばかり出演している。
「そもそも、うちの学校ではアルバイトは禁止です。」
「アルバイトではありませんわ。生まれつきの環境というものです。」
「だとしても、出席日数の確保は絶対である限り、そういう活動を控えて学校に登校させて下さい。それが不可能なら、他の学校への編入をお考え下さい。」
僕がそこまで言い切っても本人はぼんやりと僕を眺めるだけで憤慨するマネージャーが
「監督と話しますわ。非常に失礼な教師が存在する学校ではお嬢様がお可哀想だという事実を…。」
と喚き散らし帰って行く。