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不器用な夫
第23章 教師
高級マンションとして銀行から多額の融資を受けたマンションだが、人が入らず借金返済は守られる事なく銀行に差し押さえされた物件だと果歩が言う。
管理人は銀行が手配した人間であり、マンションの防犯カメラで人の出入りの確認がされている。
「先生がここに通ってくれてる事実が今の私には大切なの。」
「三浦君…。」
「先生が奥様しか愛せないというなら妊娠なんかしなくていいわ。私が先生の愛人だという形だけがあれば私はもうあの男に抱かれずに済むのだから…。」
果歩の手に力が籠る。
優等生で賢い果歩は男を利用する事を決断した。
「ここに通う事は出来ない…。」
果歩を可哀想だとは思う。
その果歩に絶望を突きつける。
「先生っ!」
後生だと果歩が懇願する。
だが、形だけとはいえハコが誤解する愛人の元に通う事は出来ない。
「他のやり方で僕が必ず三浦君を助けてやる。」
「気休めなら要りません。」
「気休めじゃない。」
「なら、抱いて下さい。別に避妊をして下さっても構わない。私を愛してなくても構わない。今はあの男が私に触れた感覚を忘れさせて下さい。」
果歩が目を大きく見開き涙を流す。
三者面談の直前まで果歩は叔父に甚振られた。
「この綺麗な身体で国松の次期当主を誑かす計画だったはずだ。何をぐずぐずしてるんだ?」
そう言って果歩の身体を甚振り果歩は追い詰められて僕を誘う行動をした。
「狂いそうなの。あの男の手の感触が身体中を這い回って気持ち悪くて狂いそう…。」
果歩が僕のシャツのボタンを外していく。
「お願い…、先生とは一度だけでいいんです。先生が初めての人だと思いたいだけなの。私だけの秘密にするから…、大学を出たら三浦からも緒方からも逃げるつもりですから…。」
泣きながら僕の身体に口付けを繰り返す果歩が憐れだとしか感じなかった。