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不器用な夫
第24章 融資



それでも母は僕の1歩手前で立ち止まり悲しみの表情を浮かべる。

僕から放たれるフェロモンの香りを嗅ぎとったから…。

この香りがすれば国松の嫁は自分の夫が帰って来なくなると心得てる。


「体調が悪いようね。」


母が寂しく笑いながらも僕に近寄り手を伸ばして顔に触れて来る。

その手を握り僕は大丈夫だと母を安心させてやる。


「大丈夫です。ハコが居ますから…。」


母は僕の答えに満足そうに笑うがテーブルに着いたままのハコは僕を見ようともしない。

母が着せてやったのだろう。

紺色の浴衣を着て髪を結い上げたハコが別人のように見える。

ハコの浴衣の裾に向かい赤い金魚が泳いでる。

母とお揃いの浴衣…。

ハコは国松の家族としてハコなりに努力してくれてると感じて嬉しくなる。


「汚れたら困るから着替えて来ます。」


僕にその浴衣姿を見せるのを嫌がるようにハコが席を立ちテラスルームから出て行く。


「要さん…。」


母が僕を睨むから僕は苦笑いをする。


「妻のご機嫌を取って来ます。」

「早く行ってあげなさい。」


新巻先生のように母までもが僕の背中を押す。

公平を連れて僕はハコを追いかける。

ハコは国松家では僕の部屋を使ってる。

その部屋の扉を開ければハコが一瞬、嫌な顔をしたのを見逃さない。


「せっかくの浴衣を僕に見せてはくれないの?」


とぼけてハコに聞いてやる。


「浴衣は明日の花火用ですから、今から汚れたりしたら困ります。」


ハコが口を尖らせる。

相当、不機嫌だと僕は肩を竦める。


「なら、着替えを手伝おうか?」


ハコの腰を引き寄せて脇腹に巻かれた白い帯に手を掛けた。


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