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不器用な夫
第25章 避妊



素直に言い訳をすればいい事だが、昔から僕はそれが出来ない子供だ。


「教師としてやったまでです。それに緒方の取り引きは僕の個人資産ですから銀行が倒産したとしても国松には何の影響もありませんよ。」

「国松に影響がなければ何でも許されると思ってるのか?お前が使った国松の力…、その結果に何が起きるかは考えてなかったのか?」


迂闊に国松の力を使うな。

1つ間違えれば国が混乱する事になる。

そう言われて育って来た。

その力をたかが学生の為に使ったと父が未熟者の僕を咎める。


「そんな…、大袈裟な…。」


銀行に僕が融資した程度で、父が言うほどの騒ぎになるとは思えない。


「私が屋敷に帰って来るまでにお前についての問い合わせが随分と来たよ。まだお相手は決まってないのかとね…。」

「まさか!?父さん…。」

「国松の答えは全てに対して、あくまでも自由恋愛だとしてある。」


呆れたものだとしか思えない。

緒方の愛人騒ぎに次いで僕の個人融資の事実が浮かんだ瞬間から自分達にも国松に近付けるチャンスがあるのかと問い合わせが父に来たのだ。


「くだらない…。」


僕にはハコという妻が既に居る。

この先、何人が愛人の申し込みをして来たところで同じ事だと思う。


「なら、要が葉子君を泣かせるのは親として感心はせんな。」


父流の嫌味…。

僕が教師としてと言い訳をすれば父が親としてと僕を叱る。

どちらにしても僕は悪い子だと叱られるのだから、父には言い訳とかするのが嫌なんだとか考える。


「ハコとは…、ゆっくりと話し合うつもりです。」


話し合う?

ハコが学校を卒業するまでは国松の正妻になれないのだと突き付けたばかりなのに、僕に新たな愛人騒ぎが浮上したと話すのか?

頭が痛いとしか思えない。


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