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不器用な夫
第25章 避妊



姉だろうと妹だろうと僕には関係ない。

今の僕にはハコが居る。


「ハコ以外は全てお断りします。」


そこだけは父にはっきりとしておく。


「ならば余計な事は慎め…。」


父は父で僕を窘める。

今更…。

絵里美が現れても関係ない。

お互いが1歩づつ歩み寄る事を諦めてた関係だった絵里美と僕に必死にしがみつくハコなら、僕は迷わずハコを選ぶ。

それだけの事だと父の書斎を出てハコが待つ寝室に向かう。

ベッドには既にハコが居る。

部屋付きのシャワールームでシャワーだけを浴びてからハコが待つベッドに入る。


「ハコ…。」


ハコの顔を覗き込めばギュッとハコが目を閉じる。

寝たフリをしようとするハコに笑ってしまう。


「明日の屋形船には数人の客が来る。ハコは堂々としてればいい。僕が愛してるのはハコだけだ。」


ハコの頬にキスをして目を開けようとはしないハコに言い聞かせる。

不器用な僕との不安定な関係にハコが耐えられるかだけが心配だと思う。

とんでもない夏休みが始まったと僕はため息を吐く事になる。

翌朝、僕が目覚めた時にはハコはもうベッドから居なかった。


「公平…。」


ハコは何処だと確認する。


「奥方様と…。」


と公平が庭の方を指差す。


「今夜の屋形船に絵里美が来る。」


公平にそれを伝えておく。


「日本に?」

「帰って来たらしい。妹の亜由美君と来ると父さんが言ってた。」

「希望(のぞみ)は?」


公平が目を細めて僕を見る。


「希望さんの事は聞いてない。」


希望は絵里美の兄で公平の同級生であったが公平の天敵の様な存在だった。

執事である公平を馬鹿にする男…。

だから公平は常に希望よりも良い成績を取り、希望よりも身体を鍛えて希望を馬鹿にする。


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