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不器用な夫
第25章 避妊
意味ならある。
「藤原家に行き、清太郎さんに会ってハコだけだと約束をするよ。」
国松として藤原の当主に対して決め事をすれば迂闊に破る事は出来なくなる。
その約束を違えれば、僕は国松の次期当主としての立場に相応しくないと烙印を受ける。
ハコもそこは理解をしてる。
「藤原家で…、そんな事が出来るの?」
「清太郎さんは厳しい人だからね。」
「要さんはそれでいいの?」
絵里美の事を考えればハコが納得する方法はこれしか思いつかない。
「ハコには先に言っておきたい事がある。」
「ハコに?」
「今、国松に僕の新しい愛人騒ぎが起きてる。」
「また!?」
「緒方の件は終わらせたが、あの噂のせいで新たな申し込みが父のところに来てる。」
「それで?」
「僕の意思は変わらない。僕の妻はハコだけだ。だけど今日の屋形船には五代家の姉妹が来る。」
「五代家…って、あの五代家?」
「ああ、五代の長女は僕の幼なじみだからね。」
絵里美とそういう関係を持った覚えはない。
ただ五代家は扱いが難しい。
政治や経済界に精通する五代家…。
過去には総理も輩出したほどの一族。
ハコもさすがに緊張した顔をする。
今や世界トップクラスの茅野家であっても藤原家、五代家、国松家の三大名家の絡みには慎重な対応が必要だとわかってる。
「要さんには子供を産みたいって人がうじゃうじゃ出て来るのに、ハコは妻にして貰えないとか…、やっぱり納得が出来ないよ。」
ハコの涙が止まらない。
僕にとっては僅か2年半の我慢だが、ハコには永遠に近い時間だと感じてる。
「愛してるのはハコだけだ。」
散々、不誠実な行為をして来た自分を偽り、ハコに約束が出来るのはハコに対する愛だけだ。