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不器用な夫
第26章 迷子
ハコが僕を取られまいと必死に僕にしがみつく。
「悪いけど…、私はもう子供じゃないから…。」
亜由美がハコを傷付ける。
「亜由美、悪いけど僕は愛人とかを持つつもりはない。僕の妻は葉子だけだ。」
「それでも、チャンスはあるってお姉ちゃんが言ってたわ。私はそのチャンスに賭けますから。」
「出てってくれ…。」
船の上でなければ今すぐに僕がハコを連れてここから出て行きたいと思う。
「お姉ちゃんが悪いのよ…。」
そう言った亜由美が部屋から出て行き、僕はハコを確認する。
「ハコ…?」
青ざめて恐怖に歪んだ顔をするハコを抱き締めてやるしか出来ない。
「なん…で…?」
「ハコ?」
「なんで皆んなが要さんを欲しがるの?」
パニックになっている。
ハコは子供なのだと突き付けられた事にハコが混乱してるのを感じる。
「大丈夫…、ハコが傍に居ればいいから…、国松の奥様としてハコは堂々としてればいい。」
そんな言葉は慰めにならない。
父のゲストとして来た女性が僕の愛人だとハコに宣言した事実はどうにもならない。
「子供じゃ駄目なの?子供じゃ子供を妊娠しちゃいけないの?ハコは要さんと居ちゃいけないの?」
大きな瞳に涙を浮かべるハコが聞いて来る。
「違うよ…。ハコ…。ハコが大切だから妊娠をさせられないだけでハコには僕の傍に居て欲しい。」
「でも、その間に他の人が妊娠したらハコは要さんと居られなくなる。」
「そんな事だけは絶対に起きないから…。」
「そんなのわかんない。お義父様がハコじゃ駄目だと判断したらハコは離婚させられる。」
怯えるハコにどうして良いかがわからない。