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不器用な夫
第26章 迷子
家族が欲しかったハコ…。
その為に僕の全てを許すと覚悟をして1人で国松家に来た少女。
僕が守るべき少女。
「ハコは国松が必要か?」
ハコに確認する。
「だって要さんは国松家だもん。」
「もしも、父さんがハコと離婚しろと言った時は僕は国松家を捨てるつもりだ。ハコは国松家と僕のどっちを選ぶ?」
「要さん?」
「ハコは国松家の為に僕と離婚をする?」
「わかんない。ハコにはわかんない。でも要さんとは離婚したくないの。」
まだ高校生のハコには決断が出来ない。
国松家を敵に回せば茅野家もただでは済まないと思ってる。
「僕はハコと離婚はしない。ハコが離婚したいと言っても僕はハコと居る。」
不器用な僕は父さんのように上手く立ち回れない。
僕がハコにしてやれる事はハコと離婚するつもりがないと意志を示すだけだ。
「要さん…。」
「ハコと居る。愛人とか必要がないくらいハコが僕の傍に居てくれればいいだけだ。」
父は自由恋愛だと主張してる。
それは僕にも選ぶ権利があるという意味だ。
僕はハコを選ぶ。
ハコに子供が出来ない場合でも僕はハコを選ぶ。
国松が滅びるとしてもハコとは離婚をしない。
そんな最低な当主にハコがしがみつく。
「ごめんなさい、ごめんなさい…。」
何度もハコが僕に謝るのが辛い。
ハコが高校生でなければとハコが自分を責める。
僕とハコの頭上に花火が上がる。
鮮やかな光を放ち広がる大輪の花…。
それはハコの涙のように流れ落ちて儚く消える。
僅かな希望をハコに与えてやりたいと願う。
未来に笑って進める道をハコに示してやるのが僕の教師としての役目であり、夫としての役目である。