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不器用な夫
第27章 家出
全てが今更だと絵里美と話す。
「葉子に欲情するんだよ。男として夫として僕は葉子だけに反応する。だから僕は葉子を抱く。それは自然な事として僕は受け入れる。」
「高校生よ?」
「そう、だから避妊はする。だけど身体の繋がりは夫婦として止めるつもりはない。」
「最低な教師ね。」
「そうかもね。最悪は教師を辞めたって構わない。葉子だけを僕は守りたい。だから教師として絵里美が葉子を傷付けるなら僕は絵里美に容赦しない。」
国松に逆らうな。
今の未熟者である僕がハコを守る為に使える切り札はそれしかない。
そして、もう1つの切り札を考える。
「悪いけど話は終わりだ。葉子が僕を待ってる。」
廊下の先にハコが居る。
戻って来ない僕を心配して見に来たのだろう。
公平を従えて絵里美と居る僕を今にも泣きそうな瞳で見るハコを僕は守ると絵里美に宣言する。
僕の視線に気付いた絵里美がハコの方へと振り返る。
「自分を大切にしなさい。」
絵里美が教師としてハコに言う。
大きなお世話だと僕は苦笑いをする。
怯えた顔ばかりをするハコに手を差し出せばハコが僕にしがみつく。
「公平、車の用意をしろ。」
公平が怪訝な表情で僕を見る。
「ハコ…、出掛けるよ。」
後1時間もすれば日付けが変わる。
ハコは僕の為に買ったと思われる控えめなパジャマを着て不思議そうに僕を見る。
「こんな時間に?」
「どちらまで?」
公平とハコが聞いて来る。
「京都へ…。」
行くしかない。
妊娠させるつもりはないがハコが僕の妻だとバレたのならば藤原家に行かない訳にはいかない。