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不器用な夫
第27章 家出



どうすれば良かった?

自分が不器用なのは十二分に自覚してる。


「ですが、坊っちゃま…。」


公平が凹む僕を見て笑う。


「奥方様はそんな坊っちゃまをずっと信じて待っておられましたよ。坊っちゃまがどこで何をやってようと坊っちゃまだけを信じるんだと言って、とても頑張る奥方様でしたよ。」


僕の知らないハコを公平が教えてくれる。

だから僕はハコの為にしっかりしろと公平が言う。


「坊っちゃまなら大丈夫です。」


公平がいつもの根拠のない言葉で僕にプレッシャーを掛けて来る。


「絶対に乗り切ってやるよ。」


僕だけが学校を辞めれば済む。

ハコが卒業をするまで毎日、船でハコを待つ暮らしでも構わない。

それでハコが守られるのならばと考える。

空が白く色を変えた頃に僕らはやっと京都へ足を踏み入れてた。

適当なホテルに入り、ハコに朝食を食べさせる。

僕はその間に清太郎さんに連絡する。


「朝、早くにすみません。」


全てを理解してるような清太郎さんが何故か慌てた声を出す。


『僕の方こそ悪かった。今は何処に居る?』

「京都に…。」

『奥様もご一緒か?』

「はい…。」

『直ぐにでも連れて来れるかい?』

「出来ればお願いします。」


ハコがぐったりとしてる。

顔色がかなり悪い。

一晩中、車で移動したとか、やはり無茶だったかと心配になる。

早く藤原家でハコを休ませたいと思う。

夕べもほとんど食事をしなかったハコが今朝もあまり食べようとしない。


「ハコなら大丈夫だよ。」


無理に笑顔を作るハコに胸が痛くなる。

朝食を済ませてから藤原家に向かった。


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