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不器用な夫
第28章 玩具



僕は君を閉じ込めたい。

ブレーキが外れたポンコツ車な気分だった。

堪らずにハコの身体にお湯を流し、風呂場から連れ出す。

タオルで雑に拭いただけのハコにバスローブを着せて僕は藤原家の奥へと進む。


「要さん?」


強引にハコを連れて歩く僕にハコが不安を見せる。

何も変わらない藤原家…。

長い廊下の奥まで来れば藤原家に不似合いな洋式の扉が現れる。

この先は藤原家ではないのだと強調する扉に鍵を差し込み扉を開ける。


「ここは?」


真っ赤な絨毯が敷き詰められた趣味の悪い部屋にハコが身体を強ばらせる。


「藤原家の秘密…、藤原家にある国松専用の部屋。」


淡々と僕は説明する。

何もない赤い絨毯だけの部屋。

そこは多分、執事やイかせ屋の控え室。

片隅に椅子が1つだけある事に初めて気付く。

その奥には更に扉があり、その扉を開けば更に趣味の悪いピンク色に染まる部屋が目に飛び込む。

何一つ変わってないな。

痛々しいショッキングピンクの絨毯に淡いピンク色の壁に囲まれた部屋。

部屋の大半を締める巨大なピンク色のベッド以外は壁に巨大なモニターがあり、ベッドサイドの壁の棚に陳列される玩具達という卑猥極まりない部屋を見たハコが目を丸くする。


「趣味…、悪いを超えてる。」


ハコが呆れた声を出す。


「趣とか必要な部屋じゃないからね。」

「必要じゃない?」

「国松の嫡子を製造する目的だけの部屋だ。」


僕の言い方にハコが嫌な顔をする。


「製造って言い方はして欲しくない。」

「だが、それが事実だ。国松の男は幾ら愛してても自分で妻を孕ます事が出来ないんだよ。」

「それでも、そんな言い方って酷い…。」

「僕もここで作られた。ハコの子もここで作る事になる。清太郎さんか曽我君に愛撫されて感じさせられて初めて僕はハコが抱ける。」


嫌な話を聞きたくないとハコが耳を塞ぐ。


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