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不器用な夫
第28章 玩具



「他の先生は皆んな呆れて怒ってたのに…、要さんだけが笑ってくれた。お腹を抱えてヒーヒーって笑ってた。ハコが笑い過ぎって怒ってても要さんだけがずっと笑ってくれてた。」


笑うしかなかった。

一流シェフが作る高級食材のランチなんか食べ慣れてるお嬢様が飽きて当然だと思った。

ハコがやったガーデンパーティーはアメリカンスタイルのバーベキューパーティーだ。

普段は澄ました顔をするお嬢様達が口の回りにソースを付けて美味しそうに肉にかぶりつく姿がとても人間らしく当たり前の姿に見えて全く怒る気にならなかった。

いつもハコの天然にハラハラしながらも、ハコの真っ直ぐな考え方を叱る事が出来なかった。


「だからハコは要さんが大好き。要さんを愛してる。国松の嫡子を産む為だけの妻でも構わない。」


スッキリとした顔でハコが僕に笑顔を向ける。

その大きな瞳から一滴の水が流れ落ちる。


「でも要さんは困るんだよね?ハコが高校生だから要さんの奥さんは他の人がいいんだよね?」


今度はハコが喉を詰まらせたように苦しい顔をする。


「違うよ…、ハコ。他の妻は要らない。」

「要さん…。」

「僕もハコを愛してる。だけど僕の傍に居れば僕はハコを傷付ける。そんな事になるくらいならハコに嫌われた方がマシだと思う。」

「それは無理…、だってハコは頭が悪いから要さんしか見れないもん。」

「ハコは賢いよ。」


ハチャメチャだと思う事があってもハコを頭の悪い子だと感じた事はない。

常に自分に素直で真っ直ぐなだけのハコ。

僕はそんなハコを愛してる。


「要さん…、辛かったよね。」


ハコが僕をベッドに座らせてから僕の膝に跨いで座って来る。


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