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不器用な夫
第1章 初夜
さすがに他の生徒が茅野の真似をすれば学校としては収拾が付かなくなると判断した為に茅野は指導に呼び出され厳重注意を受ける事となった。
世間ズレしてる学校でずば抜けて天然の茅野にいきなり嫁にされて、嫌じゃないのかとか聞くだけ無駄な気しかしない。
茅野とリビングに向かい、ひとまずは茅野を客として扱うように僕は2人分のコーヒーをダイニングキッチンで入れる。
「夕食は?」
茅野に聞く。
既に夜の9時。
明日は学校がある以上、教師として茅野の夜更かしは認めない。
「済ませて参りました。」
茅野はまだ笑顔を絶やさない。
「宿題は?」
「それを済ませてから、ここに来ましたので遅くなりました。」
「ここから学校へはどうやって通う気だ?」
「明日、白鳥が迎えに参ります。」
白鳥さんね…。
茅野付きの運転手兼執事。
授業参観や懇談会に至るまでの茅野の生活の全てを彼が取り仕切る。
確かイギリスの執事専門の学校を主席で卒業をしたというスーパー執事と学生の中ではかなり人気の高い執事を思い出し、僕は落ち着かない気分になる。
長髪でビジュアル系と思わせるほどの美男子。
黒の燕尾を靡かせて颯爽と校内を歩く姿に学生達がキャーキャーと黄色い悲鳴を上げてる記憶だけが鮮やかに蘇る。
「先生?」
ぼんやりとする僕に茅野が声を掛ける。
「ああ…。」
慌てて茅野の為のコーヒーを用意する。
「茅野君の部屋を用意しなきゃな。」
茅野の前にあるテーブルにコーヒーを置きながら茅野の様子を見る。
「ハコの部屋?夫婦で別々の部屋に暮らす事を先生はご希望ですか?」
茅野が驚きの表情を見せる。