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不器用な夫
第1章 初夜
「当たり前だろ…。」
僕はまだ教師として茅野に答えてる。
「それは嫌です。」
茅野が口を尖らせる。
「嫌って…。」
僕は君の担任だぞ。
そう言いかけて口篭る。
彼女は今日から僕の奥さんなのだと既に覚悟を決めてるのだと初めて理解する。
「茅野君は…、それでいいのか?」
マヌケにも同じ質問を繰り返す。
「先生で良かったです。」
茅野も同じ答えを返して来る。
「何故?」
「うちの学校の先生って、かなり厳選された方ばかりだと聞いております。」
そりゃそうだ。
桁外れのお嬢様ばかりの学校で身元が怪しげな教師を雇う事がまずはない。
それなりの家柄で世間ズレしたお嬢様の感覚が理解を出来る教師だけがうちの学校で採用される。
「だから…、よくわからない方にいきなり嫁げと言われるよりも既にハコを理解してくれてる先生だから良かったと思います。」
ハコがコーヒーのカップを丁寧に両手で包み込んでから口付けをする。
口の中へ流し込まれたコーヒーがハコの喉を流れるたびにハコの白い喉がコクリと小さな音を立てて微かに動く。
その光景に僕は見蕩れていた。
生徒に邪な感情を抱いた事はない。
寧ろ、まだまだ子供だという感覚だけで今までは接して来た。
その子供がコーヒーカップの向こう側から大人の女の目で僕を見る。
黒い目が大きな丸い瞳。
睫毛が長く、くっきりとした2重が印象的な少女。
サラサラで真っ直ぐな髪はきっちりと細い眉の辺りで切りそろえられ、長い豊かな黒髪が彼女の小さな肩から胸にかけてひと房流れ落ちてる。
その胸の膨らみを初めて直視する。
あまり大きな方じゃない。
だけどセーラー服の上からでもわかるくらいに整った形を見せている。