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不器用な夫
第4章 実家
ハコが目を見開くのが見える。
僕はただハコの柔らかな唇を舌で舐めて撫でていく。
ハコがゆっくりと口を開く。
その口の中へと舌を差し込めば目を閉じたハコが僕のキスに応えるように僕の舌に舌を絡ませる。
くちゅくちゅと唾液が溢れる音だけが鳴り響く。
「んふぁ…。」
目を細めて頬をピンク色に染めたハコが息をしようと僕から逃げる。
僕はそんなハコの顔を押さえつけては、まだ強引にキスを繰り返す。
「んくっ…。」
ハコが息と唾液を飲み込み喉を鳴らす。
今度はゆっくりと僕がハコから離れるとハコの口から唾液が糸を引き、口の端に涎として流れ落ちる。
「悪い子だな…。」
その口端を流れた涎を指先で拭ってやる。
「先生…。」
「まだ先生?」
「ハコの…、ファーストキス…。」
「あー…、すまない。」
「何が?」
「ハコのファーストキスは夕べ貰ったよ。」
「えーっ?いつ?」
「ハコが寝ちゃったから…。」
「先生のえっち!」
「だから、まだ先生か?」
やっとハコが僕に笑顔を見せて来る。
僕はそんなハコに笑顔を見せてやる。
「要さんだ。」
そう嬉しそうに言うハコが落ち着きを取り戻すと僕もホッとする。
「ハコ、三浦君がハコに何を言ったかは知らないけど僕は不器用な男なんだ。僕は…、その…、女性の扱いが下手だし、女性関係は未だに経験がない。」
「要さんが?」
「だから、ハコとは焦らずにゆっくりと夫婦として向き合いたいと思う。」
ハコが不思議そうに僕を見る。
「夫婦として?」
ハコには僕の抽象的な言葉の意味が少しばかり難しいらしい。