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不器用な夫
第6章 運転
「か…なめさん…。」
掠れた声でハコが僕を呼ぶ。
裏切りを知らない無垢な少女に胸が痛くなる。
「ハコ…。」
ハコの唇に口付けをする。
「ハコ…、眠っちゃった…。ごめんなさい。」
まだ眠たげな目を何度もパチパチと瞬きをするハコがそう呟く。
「いいんだよ。ハコが可愛かったから…、それでいいんだよ。」
僕はハコに間違いなく欲情をした。
ハコを悦ばせたいと僕が望んだ結果だ。
もしかしたら国松家の男である僕でもハコになら自然に愛せるかもしれないと期待する。
男を必要とせずにハコを愛したいと願う。
「要さん…。」
「おやすみ、ハコ…。」
もう一度、ハコの額にキスをすればハコが目を閉じて眠りに落ちる。
無邪気で可愛いだけの妻を抱きしめて僕は微睡みの中を彷徨う。
身体中が気怠く鈍い感じがする。
その倦怠感に落ちる自分が好きだ。
ただ普通に射精しただけでは、この感覚を味わう事が出来ない。
頭まで貫かれる快感を感じた極限の射精感を味わった時だけに訪れる倦怠感。
願わくはハコの中でそれを感じたいと考える。
小さなハコの中で僕の全てを解放してぶちまける夢に縋り付き眠りにつく。
気付けば誰かが僕の顔を撫でてた。
小さな手…。
柔らかく細い指…。
そして、唇に柔らかな唇が重なる。
チュッと音を立てて触れるだけのキス…。
「それはハコのファーストキスを奪った仕返し?」
目を開けずに聞いてみる。
「やだ…、起きてたの?」
少しだけ不安そうな可愛らしい声がする。
ゆっくりと目を開けて妻を引き寄せる。
こんな目覚めも悪くない。