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不器用な夫
第1章 初夜
裾も同じようにレースが広がり、やはりレースのパンティーが透けて見える半裸に近い彼女の姿から慌てて視線を逸らし天を仰ぐ。
「何って…?」
僕の気も知らずに彼女は僕のシャツを握る。
「今夜は初夜だから…、白鳥が用意してくれた特別なパジャマなの。先生はこういうのが嫌い?」
天然ハコが何でも白鳥任せなのは理解をしてるつもりだが、初夜だと言いながら他の男が選んだ寝巻きを着てるとか言われると僕の気持ちが萎えて来る。
「初夜って…、別にわざわざ張り切らなくても結構です。僕達は明日はまだ学校ですし、基本的には茅野君が学校を卒業するまではこの夫婦関係は成り立たないと思って下さい。」
「卒業するまで?」
「そうです。ですから茅野君は自宅に帰ってくれても構いませんよ。」
「そんなのやだっ!」
泣きそうな顔でハコが僕にしがみつく。
「ハコ…、いっぱい練習した。先生のお嫁さんになる為にいっぱい習い事したのに、帰されたらハコはお嫁さんとして失格だと言われたのと同じだよ。」
必死のハコが僕にそれ以上は言わないでくれと懇願する。
良家のお嬢様…。
許嫁が決まった日から相手の家柄に合わせて花嫁修行をするのが当たり前。
海外進出をする名家なら、2カ国語以上の語学を学び社交ダンスなどのレッスンを受けたりもする。
その為にうちの学校じゃ部活としてお茶、お華、社交ダンスなどのクラブが存在する。
授業も選択としてイタリア語、フランス語、ドイツ語を希望する事が出来る。
そうやって努力するお嬢様からすれば実家に帰れという言葉は嫁として当家に相応しくないと否定を受けた事になる。
それだけは嫌なのだとハコが泣く。