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不器用な夫
第7章 紳士



観念するようにハコが僕を見る。


「ねぇ…、要さん…。初めてって痛い?女の子は死んじゃいたいくらいに痛いんだって要さんの子供を作る為に色々と調べてて知っちゃったの。」


国松家の嫡子を作る為にとハコが読んだ本には女の子の初めては苦痛だとばかり出てたらしい。

ご生憎だが僕には女性経験が全くないのだからその問には答える事が出来ない。


「だからね…、その…、藤原家に頼めば初めてでも女の子は痛い思いをしなくて要さんにも嫌な思いをさせないらしいって聞いたから…。」


赤い顔でハコが俯いた。

日本最古の名家…、藤原家…。

建国約2700年の歴史の中で2000年以上も前から名家として成り立つ藤原家にも秘密がある。

表向きは老舗の料亭や呉服屋を営むという平凡な名家に見える。

最近でこそ世界レベルにまで発展したエステサロンの経営をしてるがそれは表向きの商売でしかない。

本来の姿として藤原家の歴代の当主は『イかせ屋』と呼ばれる最古の風俗業を生業としてる。

性につきあらゆる術を網羅したと言われる藤原家と何かと縁がある名家は少なくはない。

どこの名家も嫡子問題には不安や悩みを抱える。

その最後の砦であり駆け込み寺的存在が最古の旧家藤原家だと言える。

国松家ですら1500年ほどの歴史しかない。

茅野家でもせいぜい500年…。

2000年以上の歴史を持つ一族とはそれだけの存在感を示す一族である。

その藤原家にハコと僕の初体験を頼るべきかとハコが僕の顔を見る。


「要さんは…、何故、藤原家をご存知なの?」


少し不安を見せるハコの質問。


「元々、国松家と藤原家は旧い付き合いだよ。それにね…。」


天皇統治時代の日本と取り引きする国松家は天皇家の嫡子問題にも関与する藤原家に日本安泰の名目で出資した事実もある。

何よりも国松家の嫡子問題には常に藤原家の存在が欠かせなかった。

その事実をハコに今、説明するべきかを悩む。


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