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チカちゃん先生のご褒美
第9章 チカ先生の卒業
へんな顔のスタンプがへろへろ動いてる、トーク画面。
さっき交換した、個人の連絡先。
プライベートな連絡先だから、これを知ってる生徒も、元生徒も、他には居ない。
「……気をつけてね、チカちゃん」
「うん。内川くんも、気をつけて」
そう返したら、内川くんがにーっと笑った。
「俺が言ってるのはぁ、そういうのと違うし!」
「え?」
内緒話みたいに、キスするみたいに、耳元に唇を寄せられる。
「……気をつけろよ?鈴木とヤるとき、俺の名前を呼ばないように。」
ばかっ!って叩こうとしたら、避けられた。ほんと、しょうがないエロ学生なんだから。
「じゃあね!……あ。あの、偶然入っちゃった音声の私的な利用、卒業するから。後で消しとくわ、あれ」
やっぱ本物のが良いよなー、って笑うと、内川くんは手を振ってすぐ背中を向けた。
まるで、卒業式の時みたいに。
「……よし。気をつけて、帰るかー」
十二時を、回っちゃったからか。
『無事に帰ったら連絡して。無事に帰れなそうでも、連絡して』
スマホをチェックしたらそんなメールが入ってて、おかしくなってちょっと笑った。
……私、無事だったのかな。そうじゃないのかな。
少なくとも、何事も無かったって事は、無かった。
おかげでずっと引っかかってた何かが吹っ切れたのは、確かだ。
「……『お疲れ様です、今、帰りです』……」
その後なんて続けようかを考えながら、私はいつも使ってるキャラが、ハートを投げてるスタンプを押した。
【終】