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チカちゃん先生のご褒美
第7章 チカちゃん先生のご褒美
*
「卒業おめでとう!!」
瞬く間に、卒業の日が来た。
学生としてこの学び舎に来るのも、これで最後だ。
「おめでとうぅうう……淋しくなるなあ……!」
着物に袴の式服を着たチカちゃんの、半泣きの笑顔が、眩しい。
俺と野際は、隙を見てチカちゃんにこそっと言った。
「先生も、卒業おめでとう」
「え?」
「祝・処女卒業~」
「良かったね、末永く仲良くね!」
「えっ……!?」
チカちゃんは真っ赤になって一瞬鈴木に目をやって、慌てて、しーっ!って唇に人差し指を当てた。
それが面白くて、俺たちは笑った。
誰にだってご褒美は、必要だ。
俺らのゆるキャラは、俺らにご褒美をくれた後、最後に自分も、ご褒美を貰ったんだな。
*
あちこちに挨拶をして、校舎から出た。
多分、一番最後だったと思う。立ち去りがたくて、ぐずぐずしてたから。
チカちゃんに挨拶しとこうかと思ったけど、やめた。未練がましい。
生徒の進学の為に自分に気が有る女を利用して、進学が決まったらその生徒にヤッてる所を見せるような奴が好きって女の事なんか、いつまでも引きずってても仕方ない。
本命に受かった事だし、さっさと次に行くに限る。
「うーちかーわくーーーん!!」
せっかく挨拶しなかったのに、校舎から出たら、上の方から声がした。
「おめでとぉおおー!!元気でねー!!」
「……ありがとー、チカちゃーーーん!!」
窓から乗り出すチカちゃんに、手を振り返す。
……チカちゃん。
そこ、化学準備室じゃね?
背後とか袴の中とか、どうなってんの?
……心配だ。すげえ、気になる。
ま、チカちゃんが良ければ、何ヤッてたって、良いんだけどね。
お幸せに、山田先生。
*
ってことで。
チカちゃん先生と俺らの話は、これでおしまい。
チカちゃんは俺達の人生を、体を張って、変えてくれた。
それはそれは、いろんな意味で。
……仰げば尊し、我が師の恩。
ありがとう、俺たちのゆるキャラ、チカちゃん先生。
俺はチカちゃんの事を、一生忘れないだろう。