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チカちゃん先生のご褒美
第8章 知佳先生の奮闘
「俺も、二人の進路が決まったら嬉しいし」
「えっ、でもっ」
私をいつでも導いてくれる、優しい手。
そして時にはイカせてくれる、いやらしい手。
その手以外の手が、私に……?
「……たろー、さん?」
「んー?」
「たろーさんはっ、イヤじゃないの?……私の胸を、他の男性に、触らせるなんてっ」
「男性っても、生徒だろ?」
「そうだけどっ……あ」
「最善の方法とは、思わないけど……若い頃には、若い頃しか出来ない指導も有るからなー」
その言葉を、聞いた私は。
太郎さんに初めて会った頃のことを、ぼうっと思い出してしまった。
*
「お。山田知佳?」
「はいっ?!」
入学したばかりの高校の、放課後。
図書室に行こうと歩いていたら、担任の宮地先生に、呼び止められた。
「うん、憶えた憶えた。……図書室か?」
「はい」
「山田は、本好きだなあ。休み時間も、読んでるもんな」
「はい……」
入学して、一週間。
同じ中学から来た女子に顔見知りが居ない上に、クラスも、ばらばらになった。
気軽に話せる子がまだ居ない私は、本を読んで休み時間を潰してる。
「図書室行くなら、ついでに頼みが有るんだが」
宮地先生が、手に持っていたファイルを胸の前で振った。
「これ、化学準備室に届けといてくれないか?」
「化学準備室……?」
「図書室の奥、廊下の突き当たりだ。置いておいてくれるだけで良いから」
図書室は、旧校舎に有る。行くのが面倒な場所だ。ついでに届けて先生が楽出来るなら、別に、一石二鳥だよね?
「はい、分かりました」
「お!助かった、ありがたい!!宜しく頼むな!」
私はファイルを預かって、旧校舎に続く渡り廊下に向かった。