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チカちゃん先生のご褒美
第8章 知佳先生の奮闘

   *

「……ここ……?」

 たどり着いた化学準備室には、「不在」って札がかかってた。

(不在でも、置いておいたら大丈夫かな……?)

 そっと引き戸を引いてみたら、開くみたい。
 図書室に持ってったら、そのまま忘れちゃうかもしれないし、知らない先生に会うのも、緊張するし。

(……うん。置いて帰ろう)

 そーっと戸を開けると、薬品かなんかの匂いがした。目の前には型押しの目隠しガラスがはまった衝立が有ったけど、物を置けそうな場所は、無かった。
 衝立の後ろには、机か棚か、とにかくなんか有るだろう。そこにファイルを置こうと思って、そーっと衝立の後ろに回った……ら。

「……失礼しま……」
「……っ……ぁ、ぃっ……!」

「え?」

 机は、有った。
 有ったけど、誰かが上に、仰向けに寝てて。
 プリーツスカートから出た紺の靴下の目立つ白い脚が、空中でがくがく揺れていた。

「ぁ、ん……せんせっ、っ!」
「……あ。」

 目を伏せて苦しそうに喘いでる人の脚の間に立ってた白衣の人が、私に気付いて、苦笑いした。

「え?!だれっ、きゃ……んむ!!」
「しーっ…………君も、しーっ、ね。」

 スカートから突き出した脚の持ち主は、私を見て叫びかけて、白衣の人に口を塞がれ。
 白衣の人は私にも、唇の前に指を立てて、「静かに」って合図した。
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