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Aさん ~私を淫らにする人~
第3章 失恋の夜は玩具で
空いていたAさんの横に男の人が座り、Aさんと女の人がピッタリとくっ付きあった。

(だめぇ、そんなにくっ付いちゃ)

心が叫んでいるうちに、私の隣にもオジサンが座ってきて肩同士が当たった。

(イヤァ、触れないでぇ)

そんな忙しく揺れる気持ちでいるうちに、みるみるうちに私とAさんとの間に乗ってくる人の壁が二重、三重と出来上がってしまった。

ゴロゴロと閉まるドアの音。

そして電車が動き出してゴーと言う車輪の唸りと、人々の話す音が周りでざわめくけれど、Aさんの声と女の人の声は特別にハッキリと私の耳に聞こえてしまう。
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