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Aさん ~私を淫らにする人~
第3章 失恋の夜は玩具で
聞きたくない、聞きたくないと心は何度も叫ぶけれど、何を話して笑っているのかは気になってしょうがない。

(お願い、そんなに楽しそうにしないでください)
 
私は膝の上で拳をギュッと固く結んで、この耐え難き状況をただジッと耐えるだけだった。

そしてやっと降りる駅に到着すると、座席から立ち上がった私は、「すみません」を幾度か言いながら、人垣を分けて進んでいく。

ここでAさんも降りるはずだと思いながら・・・。

でも、人と人との隙間から見えたAさんの様子は、相変わらず隣の人と楽しそうに話しを続けていて降りる気配がない。
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