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Aさん ~私を淫らにする人~
第14章 石井さんと
どうしたら、男の人の気を引いて、好きになってもらえるかを意識して振る舞い、そして言葉遣いをした。

お店を出てからも二人で歩く帰り道で、私は意識して石井さんとの間を近くして寄り添い歩いた。

心の中では肩や腰に手を回されることをOKしているのに石井さんは何もしてこなくて、昼間のキスは何だったのかなと思った。

やはり、あの木本さんがいいのだろうかといつもの弱気な自分が出てきそうになる。

思い切って私の方から腕を組めばとも思うけれど、そこまでの勇気もないし、なによりそれは石井さんの私に対するイメージではないだろうと思いとどまった。

そうして気持ちが冷静に普段の私に戻ってくると、そろそろAさんにお疲れ様メールをしなきゃいけない時間だと気が付いて焦ってくる。

あまり遅くなるとAさんに変にこの石井さんとのことを思われるかもしれない。
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