この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の美しいひと
第7章 僕の美しいひと
笙子は静かに岩倉に歩み寄り、微笑みかけた。
「ありがとうございます。千紘さん」
笙子の肩に、愛おしげに手にしたカシミヤのショールを掛ける。
「冷えてまいりましたので、お持ちしましたよ。
…笙子さんは本当に着物が良くお似合いだ」
笙子の姿に眼を細めたのち、郁未に端正な眉を上げてみせる。
「嵯峨先生、お出かけですか?」
郁未が答える前に、笙子が楽しげに言った。
「花嫁様を奪いにいらっしゃるのですよ」
岩倉が、わざと大袈裟に眼を見開く。
「なんと…!紳士のお手本のような嵯峨先生が!
…これは雪が降るはずですね」
…しかし直ぐに、いつもの穏やかな微笑みを浮かべた。
「…私はいつも嵯峨先生を応援していますよ。
周りが何と言おうと、貴方の味方です」
笙子が嬉しそうに岩倉を見上げ、その大きな手をそっと握りしめた。
「…ありがとうございます。岩倉先生。
行ってまいります」
「行ってらっしゃい、郁未さん。
貴方と清良さんのお幸せを祈っておりますわ」
二人に恭しく一礼し、郁未は確かな足取りで玄関のドアを押し開けた。
「ありがとうございます。千紘さん」
笙子の肩に、愛おしげに手にしたカシミヤのショールを掛ける。
「冷えてまいりましたので、お持ちしましたよ。
…笙子さんは本当に着物が良くお似合いだ」
笙子の姿に眼を細めたのち、郁未に端正な眉を上げてみせる。
「嵯峨先生、お出かけですか?」
郁未が答える前に、笙子が楽しげに言った。
「花嫁様を奪いにいらっしゃるのですよ」
岩倉が、わざと大袈裟に眼を見開く。
「なんと…!紳士のお手本のような嵯峨先生が!
…これは雪が降るはずですね」
…しかし直ぐに、いつもの穏やかな微笑みを浮かべた。
「…私はいつも嵯峨先生を応援していますよ。
周りが何と言おうと、貴方の味方です」
笙子が嬉しそうに岩倉を見上げ、その大きな手をそっと握りしめた。
「…ありがとうございます。岩倉先生。
行ってまいります」
「行ってらっしゃい、郁未さん。
貴方と清良さんのお幸せを祈っておりますわ」
二人に恭しく一礼し、郁未は確かな足取りで玄関のドアを押し開けた。