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僕の美しいひと
第7章 僕の美しいひと
「…なんだか…締まらないプロポーズになってしまったな…。
もっとちゃんと君を僕の奥さんにする為に決めるつもりだったのに…」

…こんな筈ではなかった…。
ため息を吐く郁未に、清良がぴったりとくっついてその頬にキスをした。
「元気出して。
あたし、嵯峨先生の良いお嫁さんになれるように頑張るから」
「…清良…」
練絹のように白い肌、黒眼勝ちの大きな瞳、可愛らしい鼻筋、苺色の唇…。
愛おしい清良の貌がすぐそばにある。

郁未は清良を抱き寄せ、その黒い絹糸のような髪を撫でた。
「…僕が不甲斐ないばかりに…君には一つも格好良いところを見せられないな…」
力なく呟く郁未に、清良は首を振る。
「あたし、先生の気が弱くて情けないところが好きなの」
「お、おい…」
「…気が弱くて、ぐずぐずしてて…」
むっとする郁未の首すじに再び腕を絡める。
「誰よりも優しい嵯峨先生が好き…」
「清良…」
美しい黒い瞳が星のように瞬く。
「…ねえ、もう一度、ちゃんと言って…」
「…え?」
「…愛している…て。…ちゃんと聞きたい…」

その小さな…凛として美しい貌にそっと手を伸ばす。
「…愛しているよ、清良…。
君のすべてが大好きだ。…こんな情けない僕を選んでくれてありがとう…」
清良はふんわりと、花が解けて咲くように笑った。
「…あたしは最初からあんたが好きだったんだよ。
あんたは綺麗で清潔で優しくて…まるでお伽話の王子様みたいだった…。
あたしを見つけてくれて、ありがとう…」
「…清良…」

心が深く触れ合い、身体が引き寄せられる。
どちらからともなく、唇を重ねる。
…甘く長い口づけを交わす。

蕩けるような口づけの合間に、清良が囁く。
「…ねえ…今夜は一緒にいられるよね…?」
艶かしい眼差しに口づけを止められない。
幾度も繰り返し、ようやく離す。
「…一緒にいよう。…けれど、キスまでだ」
「え〜⁈何でダメなの⁈」
不満そうに口を尖らす清良を抱きしめ、宥める。
「侯爵と約束したからね。紳士同士の約束だ。
結婚式までは清い仲でいよう」

膨れっ面の清良を愛おしげに見つめ、そっと微笑みかける。
…跳ねっ返りのお転婆娘…けれど、誰よりも美しく煌めく鮮やかな光のような少女…。

「…だけど君はもう僕だけの恋人だ。二度と離さない。
…僕の美しいひと…」




〜la fin〜

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