この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の美しいひと
第6章 すれ違う想い
「ええ、お会いして昼食をご一緒したわ。
…まあ本当に思わず見惚れてしまうほどにお美しくて優雅でチャーミングで…素晴らしいお嬢様だったわ」
婉子の手放しの賛辞に、密かにほっとすると共に嬉しくなる。
…そうか…。
清良は貴族の令嬢らしく、着実に成長しているんだな…。
あの酷い言葉遣いも懸命に努力して直しているのだと思うと、堪らなく愛おしくなる。
「そうそう。清良さんは、貴方のことをお尋ねになったわよ」
母の一言にどきりとする。
「…そうですか…」
「郁未さんはお元気ですか?
どうしていらっしゃいますか?て…」
…清良…。
あんなに手酷く拒んだ自分に気遣ってくれるのかと、郁未の胸は、ずきりと痛んだ。
「お元気だけれど、お仕事ばかりされているわとお答えしましたよ。
…そうしたら、とても安心したように笑っていらしたわ。
本当に可愛らしいお嬢様…!
ああ、勿体ないことをなさったわねえ、郁未さん!」
母のぼやきも耳には入らない。
…清良…。
愛おしい少女…。
…彼女がここを去り、初めて思い知らされた…。
如何に自分が彼女を愛していたのかを…。
清良の不在は、郁未の心を空っぽの空洞にした。
…咲き誇る薔薇のように美しい容姿だけでなく、生き生きとした眼差しや屈託のない声…闊達な仕草…。
それらすべてに、自分でも気づかぬほどに惹かれ…心を温められていたのだ…。
…だが、今となってはもう遅い…。
自分は彼女を突き放し、自ら扉を閉めてしまったのだから…。
物思いに沈む郁未の前に、一通の白い封筒が差し出された。
「…高遠様からよ。
来週、清良さんのお披露目の夜会が開かれるそうなの。
ぜひ、郁未さんにもご出席していただきたいと仰っていらしたわ」
…まあ本当に思わず見惚れてしまうほどにお美しくて優雅でチャーミングで…素晴らしいお嬢様だったわ」
婉子の手放しの賛辞に、密かにほっとすると共に嬉しくなる。
…そうか…。
清良は貴族の令嬢らしく、着実に成長しているんだな…。
あの酷い言葉遣いも懸命に努力して直しているのだと思うと、堪らなく愛おしくなる。
「そうそう。清良さんは、貴方のことをお尋ねになったわよ」
母の一言にどきりとする。
「…そうですか…」
「郁未さんはお元気ですか?
どうしていらっしゃいますか?て…」
…清良…。
あんなに手酷く拒んだ自分に気遣ってくれるのかと、郁未の胸は、ずきりと痛んだ。
「お元気だけれど、お仕事ばかりされているわとお答えしましたよ。
…そうしたら、とても安心したように笑っていらしたわ。
本当に可愛らしいお嬢様…!
ああ、勿体ないことをなさったわねえ、郁未さん!」
母のぼやきも耳には入らない。
…清良…。
愛おしい少女…。
…彼女がここを去り、初めて思い知らされた…。
如何に自分が彼女を愛していたのかを…。
清良の不在は、郁未の心を空っぽの空洞にした。
…咲き誇る薔薇のように美しい容姿だけでなく、生き生きとした眼差しや屈託のない声…闊達な仕草…。
それらすべてに、自分でも気づかぬほどに惹かれ…心を温められていたのだ…。
…だが、今となってはもう遅い…。
自分は彼女を突き放し、自ら扉を閉めてしまったのだから…。
物思いに沈む郁未の前に、一通の白い封筒が差し出された。
「…高遠様からよ。
来週、清良さんのお披露目の夜会が開かれるそうなの。
ぜひ、郁未さんにもご出席していただきたいと仰っていらしたわ」