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劣情ストーリーテラー
第43章 カーテンの向こう側

その、あの音って



「なんだと思います?」



あ、鳴らなくなりましたね



「そのようですね」



(ページをめくる音)



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



あ、また



「さっきとは違うようですね」



ええ、少し



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



なんか、さっきとは違って大きくなったり小さくなったり



「なんでしょうね」



(チュッチュップッチュッ)



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



なんか、どこかで何か漏れてませんか?



「そういうふうに聞こえます?」



なんか、ぬちゃぬちゃしたものっていうか



(押し殺したような吐息)



やっぱり、向こうに誰かいますよね



「そうなんです」



なにしてるんですか?



「たぶん、ご想像のとおりのことです」



…想像だなんて、してな…



「その想像であってると思いますよ」



…どういう意味ですか



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



「確かめていただいてけっこうですよ」



…そんな、怖くて見られません



「危害を加えるようなことはありません、それは保証します」



二人、いますよね



「ええ、一人は身動きとれないようにしていますから」



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



(ブチュッチュッチュポッ)



…なんで、そんなこと



「よりよい作品作りのため、と言いましょうか」



なんで、私を



「良質な観察者が作品の質を高める、と考えてまして」



こんなことに巻き込んで、私を、どう…



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



「はーい、もう、声を出していいですよー」



(イグッ)



(うぃんうぃんうぃんうぃんうぃんうぃん)



「大変、お顔が真っ赤じゃないですか、今日はここまでにしましょう」



赤くなんか…



「今日はもうけっこうですよ、お帰りいただいてけっこうです」



こんな…状態で…帰れって…









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