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ガーネット弐番館
第1章 再会
恐る恐る航平をチラリと覗くと、切れ長の目を流石にぱちくりとしている。
「お母さん、急いでるっておっしゃってるんだから、邪魔しないの!」
やはり娘さんだろうか、今井さんをべしべし叩いて、叱って止めてくれる。
「ほんと母がごめんなさい。ほら、行くよ」
「近いうち、出来ればお二人で書類持っていらしてね!」
まだしゃべり足りないであろう今井さんの腕を掴んで、半ば引きずるように連れ去った。
気まずい。
実に気まずい。
恐らく同じように固まったままの航平の顔が見えない。
「...さっきの」
「ごめん!ほんとにごめん!!後で説明するから!!」
とりあえず。とりあえず、ここから去りたい。
今井さんが戻ってきそうで怖いし。
「じゃ、お前ん家で宅飲みな」
くるりと振り返って、航平が人混みを掻き分けるように足を速めた。
「え。ちょと...」
説明イコール“タクノミ”の意味が分からず、慌てて付いて行く。
「さっき言ってた1階のトコで酒買ってこうぜ」
「宅飲み、ってまさか、ウチで?」
走るように追いかけるけど、背中についていくのがやっとだ。
それでさえ、人混みで見失いそうになる。
「今からどっか入んの無理だろ」
レストラン街は、夜ゴハンのピーク時間を迎えている。
高級中華からカフェに至るまで、あらゆるお店の外に人が行列をなしていた。
「それとも何。このあたり座って、説明してくれんの」
ふっと航平が立ち止まったので、その背中にぶつかりそうになる。
指さしたのは、フードコートで。
お店の行列はもちろん、座る場所を探して人が溢れかえっている。
ざっと見渡すと、高校時代の友達ファミリーが見え、こちらに気付いて手を振っている。
ここも早く立ち去らないと大変なことになりそうだ。
「う。...無理」
「な。決まり」
言うと同時に、すっと睦美の手を取ってまた歩き始めた。
その流れがすごく自然で、違和感が無かった。
「お母さん、急いでるっておっしゃってるんだから、邪魔しないの!」
やはり娘さんだろうか、今井さんをべしべし叩いて、叱って止めてくれる。
「ほんと母がごめんなさい。ほら、行くよ」
「近いうち、出来ればお二人で書類持っていらしてね!」
まだしゃべり足りないであろう今井さんの腕を掴んで、半ば引きずるように連れ去った。
気まずい。
実に気まずい。
恐らく同じように固まったままの航平の顔が見えない。
「...さっきの」
「ごめん!ほんとにごめん!!後で説明するから!!」
とりあえず。とりあえず、ここから去りたい。
今井さんが戻ってきそうで怖いし。
「じゃ、お前ん家で宅飲みな」
くるりと振り返って、航平が人混みを掻き分けるように足を速めた。
「え。ちょと...」
説明イコール“タクノミ”の意味が分からず、慌てて付いて行く。
「さっき言ってた1階のトコで酒買ってこうぜ」
「宅飲み、ってまさか、ウチで?」
走るように追いかけるけど、背中についていくのがやっとだ。
それでさえ、人混みで見失いそうになる。
「今からどっか入んの無理だろ」
レストラン街は、夜ゴハンのピーク時間を迎えている。
高級中華からカフェに至るまで、あらゆるお店の外に人が行列をなしていた。
「それとも何。このあたり座って、説明してくれんの」
ふっと航平が立ち止まったので、その背中にぶつかりそうになる。
指さしたのは、フードコートで。
お店の行列はもちろん、座る場所を探して人が溢れかえっている。
ざっと見渡すと、高校時代の友達ファミリーが見え、こちらに気付いて手を振っている。
ここも早く立ち去らないと大変なことになりそうだ。
「う。...無理」
「な。決まり」
言うと同時に、すっと睦美の手を取ってまた歩き始めた。
その流れがすごく自然で、違和感が無かった。