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ガーネット弐番館
第1章 再会
「お仕事がお忙しいって聞いていたけど、たまにはこちらに来られてるのね~」

初対面にも関わらず、至近距離でマシンガントークを始めた今井のおばちゃんに、あまり動じない航平も驚いている。

「ええ。まあ」

頼むから、このまま。
このまま、立ち去りたい!

「あの、急いでるので、この辺で」

なんとか、航平と今井さんの間に入った。

「もう!中野さんたら、隠さなくても〜!」

なんとか離れようと、突っ立ってる航平の体を背中でぐいぐい押してみるも、ビクともしない。

「誰?」

「アパートを紹介してくれた不動産屋さんなんだけど...」

少しだけ振り返り小声で説明しようと試みるも、やはり今井さんが引っ込まない。

「今井です〜。ほら、イマイ不動産の!」

知ってて当然と今井さんが胸をはる。

いや、航平は知らないんだよ。

「ああ。どうも。睦美がお世話になってます」

は!?

何、航平も乗っかっちゃって。

やめて〜!

って、“睦美”だなんて、呼ばれた事ないんですけど!!

「いえいえ〜。ほんっと、中野さんが隠すだけあるわね〜!この辺りじゃ見かけないぐらい素敵な方だわ〜」

「どうも」

何、褒められてまんざらじゃないみたいな。
お願いだから、移動して。

さり気なく腕のあたりを引っ張ってみるも、気づかないのかビクともしない。

「でもあなた、いくら仕事が忙しいからって、なんでも中野さんに任せっきりはダメよ」

ああ。余計な事を。

「はぁ」

頼むから、それ以上言わないで〜!

「今井さん!ほんとに私たちは、あの、その」

どうこの場を離れようかとしていると、今井さんの娘さんだかお嫁さんだかが呼びに来た。

タイミングよく現れてくれて、ほっとする。
もうちょっと早く来てくれてもよかったぐらい。

「あら。順番なの?もうちょっとお話したかったわぁ」

「書類、近いうち持っていくので。では、これで」

やっとこの場から離れられると、胸をなで下ろした瞬間。


「そうそう。結婚式はいつになったの?」



!!!!



やられた。。。。


もうダメだ。

もう誤魔化せない。

「流石にもう決まったんでしょ?まだなの?ダメよ~。早く決めないと!こういうのはね、先送りしてたらダメなのよ。勢いがある時にね、こうバババーっと」
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