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第2章 ガーネット弐番館

睦美が一人暮らしをするのに、希望した項目はいくつかある。

・家賃が予算内（お安め）であること。
・お風呂とトイレが別々であること。
・駐車場が付いていること。
・職場まで車で３０分ぐらいまで。

強く要望したのは、このぐらいで。

勿論、治安がすこぶる悪い所とか。
日当たりが全くない所。
なんかは論外だけど、あとはたいした要望はなかった。

というのも。

この田舎には、
オートロック付きマンションとか。
お風呂に洗濯乾燥機能付きとか。ウォシュレット付とか。
そういった類のマンションは皆無なのだ。

大体、どこを見渡しても背の高いビルは存在すらしない。
田んぼや工場がほとんどで、一戸建の集落がぽつりぽつりと点在している。

大学などがないからか、一人暮らし用のワンルームもあまり数が無い。

なんとか見つかったのは、築３０年越えの木造２ＬＤＫ。
５年ほど前に水回りはリフォーム済み。


それが『ガーネット弐番館』というアパートだった。


合わせたら８帖ほどのキッチンと居間は一応フローリングで。

６帖の畳の部屋と、その隣も畳の部屋で４畳半。

お風呂とトイレはもちろん別々。

シャンプードレッサーではないが、洗面台もある。

駐車場は、なんと２台付！

職場まで車で２０分ちょい。

県道まで歩いて数分で。その県道沿いを少し行くと、コンビニやスーパー、ホームセンターがあり。
その中心に、田舎にしては比較的大きな駅があった。


探して探してやっと見つかった割には、すこぶる好物件！！



ただし。

入居には条件があった。


『ご家族であること』


つまりは、ご夫婦か、子ども連れのファミリーでないと入居出来ないというのだ。


何年か前に、女性一人で入居したことがあって。

その方が、入れ代わり立ち代わり、友達を連れ帰り。

木造で壁が薄いのに、深夜まで騒ぎ。
果てには“子どもには聞かせられないような声”を昼夜問わず響かせていたらしい。

他に入居しているのが、ファミリー世帯なのもあって。
大トラブルになったとか。


友達は部屋に呼ばないから何とか入居出来ないか、お願いをしてみたものの。

前回のトラブルで相当苦労した家主さんの許可は下りなかった。


そこで、考えたのがー。