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ガーネット弐番館
第2章 ガーネット弐番館
睦美がコタツのいつもの場所に座ると、その右斜め前に航平が座った。

いや、どこに座ってもいいんだけど。

互いにお酒を注ぎあって。

ああ、これをする為に、斜め前に座ったのかと納得した。

向かいだと、互いの手を最大限に伸ばさないといけないぐらいに遠い。

「「乾杯」」

お米の名産地の、隠れた名酒らしい。

普段の睦美なら、絶対に手を出さない高級酒だ。

キリリとした辛さの中にコクがあって、喉から鼻腔に芳醇な香りを運ぶ。
それでいてスッキリした後味で、すいすいっと飲み進んでしまう。

「美味しい〜」

「あー。染みる...」

おつまみで用意した、チーズがこれまた合う。
他にも柿ピーなどのナッツ類や、ミニささかまなどが並んでる。

美味しくていくらでも飲めてしまう。
さっき沢山飲んで食べたハズなのに。

「『ガーネット弐番館』とか言うから、スゴイ古いの想像してたけど。中は結構キレイじゃん。思ってたより広いし」

航平が、おちょこ片手に室内を見渡している。

まだたいして物が入ってないからというのもあるが、一人暮らしには十分すぎる広さだ。

現に、和室の4畳半のほうは、何に使っていいかわからず、適当な物置になっている。

寝室にしている和室だが、唯一日当たりがいい部屋なので、日中は洗濯物を干す場所となっている。
その為、ベッドは隅っこに置かざるを得ない。

そんな話をしている間に、すぐお酒が空になった。

「ん、もうない」

「はやっ。えー、もうコタツから出たくない」

何か言うかなと思っていたのに、航平がすっと立ち上がり、相変わらず黙々と熱燗の用意をしている。

何と、使えるじゃないか。

楽しくなってきた。

「ねー、冷蔵庫にさ。明太子とお豆腐があると思うんだよね〜」

「明太子か、合うね!」

おっ、乗ってきた。

レンジで温めている間に、冷蔵庫から取り出し、盛り付けているようだ。

すばらしい。

意外と、働きぶりがいい。

2本目となる熱燗と、豆腐の上に明太子を乗せて、コタツに戻ってきた。

「すごい!天才!!」

予想通り、明太子がめちゃくちゃこのお酒に合う。

「んー!」「うまっ」

宅飲み、楽しい!!
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