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第1章 プロローグ　噂話

　そのあまりにも嘘くさい話の為に、都市伝説にもならない噂があった。

　世の中の変態紳士淑女のために開催されている激エロでスペシャルなイベント。

　場所や日時など一切不明のシークレットイベントがあるという。

　その名も“ライフ・ライク・セックス”

　通称“ＬＬＳ”

　そこでは一体何が行われているのか。

　ある人は大乱交大会だと言い、ある人は公開調教ショーだと言い、またある人は多種多様な趣味嗜好の志が集うハプニングバー形式のマッチングパーティーだとも言う。

　人の口の数だけ噂の中身は膨れ上がるばかり。

　タイトルに「セックス」とある以上は性的な事柄が絡む何かであることは間違いはない。

　しかし、その何かが全く分からない。

　イベントに参加した人もいるはずなのだが、箝口令でも敷かれているかの如く口を閉ざしてしまっていて、本当に参加者がいたのかどうかすら不明な状態だった。

　真実は噂話の闇の中。

　参加したくても参加できない。

　所詮はどこぞの誰かがでっち上げた作り話だったのか。

　もう諦めるしかないと誰もが思い始めた頃、最近になってその噂に新しい噂が加わってからは、逆にその存在を確信する人達が増え続けていった。

「前回のイベント中に警察が介入して数十人の検挙者が出たらしい」

　インターネット上の検証サイトでは、その時のことだと思われる新聞記事なども取り上げられたが、猥褻行為でグループ数名を逮捕したという極々小さな記事のみだった。

　想像するだけでも結構な大捕物だったにもかかわらず、唯一それらしい報道として発見された新聞記事での扱いが小さかったというのが、また噂に尾鰭背鰭に胸鰭までつけて広まる結果となってしまっている。

　果たして次はあるのか。

　そもそもイベント自体が存在しているのか。

　どうしても参加したければ、ありとあらゆる手段を駆使して開催日時と場所を特定するしかない。

　特定して参加出来て初めて、真実を眼前にすることが出来る。

　“ＬＬＳ”とは一体何なのか⋯⋯。