この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
MILK&honey
第14章 ふわっふわの、可愛いやつ

「……ん……?」
今日も、なんとか仕事が終わった。
顔洗って着替えてさっさと帰ろ……
……と思った俺の目に、控え室の隅のでかい段ボール箱が入って来た。
箱には、プレゼントが入っている。
全員宛てが一箱、四人それぞれ宛てが各一箱ずつで、全部で四箱。
その中の、自分の名前が書いてある箱の、一番上に乗ってる物が気になった。
「……うーん……」
無表情な、白いクマの縫いぐるみ。
なんか……見憶えが有る気が……手に持って、じっと見る。
「あっれー?ヒカリちゃん、プレゼント受け取ることにしたの?」
たまたま近くに居た利人が、笑い混じりに聞いて来た。巧と朔は、消えた……シャワーか着替えかなんかだな。
「受け取らねーよ。俺にくれてる訳じゃねーから」
これは、俺本人宛じゃねー。
みんな、虚像にくれてんだ。
他の奴らは、どうしてるのか知らねーが。
俺へのプレゼントは、こういうもんを集めて売って売上を寄付に回すって業者に全部送ってる。
貰ったもんはそういう所に送るって、最初からちゃんとはっきり言ってある。だから、このクマがいくら気になったとしても、持って帰ったりはしない。例外は、作らねーよ。
……でも。
るりちゃんの前のエプロンに、こんなクマ、付いてなかったっけ……?
こういうスタンプは、使ってるよな……。
この前一緒にファーストフードに行った時、るりちゃんからタオルハンカチを借りた。そのお礼を、まだしていない。
現物はもちろんすぐに洗って返したけど、お礼がしたい。
お礼というか、お礼を装った贈り物がしたい。
俺はにらめっこする様に、クマの顔をじっと見た。

