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MILK&honey
第16章 ……聞かなかった事にしよう。

……あ。
居た。
ローテーブルに勉強道具を広げたままで、入り口からは死角になってるソファですーすー寝ている、るりちゃん。
制服に、エプロン姿だ。勉強しながら待ってる間に、寝ちゃったんだな……
近付いても起きない位、よく寝てる。疲れてんだね、るりちゃん。疲れてんだから勉強だけしてたら良いからねって言っても、「実技も大事だし、気分転換になるから!」って、来るとご飯を作ってくれる。
髪の毛が顔にかかってて、鬱陶しそうだ。よけてあげる位なら、巧に怒られない範囲だよな?
柔らかい髪。いい匂いとかして来そう。
姫ちゃんなんかと比べると大人びた雰囲気のるりちゃんだけど、眠ってると、あどけなく見える。
ぼーっと見てたら自然と、弟たちにしてたみてーに頭を撫でながら、子守歌を歌いかけ……
……あっぶね!
出だしのとこだけで踏みとどまって良かった!!
恐る恐るるりちゃんを見ると、心なしか、口元がふにゃんと緩んでる様な……
……なんだよ!!クッッッソ可愛いかよ!!
これ、どうしろってんだ……!?
……ダメだ……好きだ……
やっぱり好きだ、この子のこと……!
好き過ぎる……!!
るりちゃんが、誰を好きでも……たとえヒカリの事が好きでも、俺は、るりちゃんが好きなんだ。
姫ちゃんの、言う通り。
全部、聞かなかったことにしよう。
聞かなかったけど、でも、決めた。
俺は、ヒカリから、るりちゃんを奪う!!
……どうやったら奪えんのかは、全っ然、分かんねーけど。
その日は、しばらく寝顔を眺めた後で、るりちゃんを起こして。
夕ご飯もそこそこにタクシーに乗せて、お家に帰した。

