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MILK&honey
第16章 ……聞かなかった事にしよう。

「っだいま……」
「お帰りなさいませ」

 帰らねー訳には、行かなくて。
 それに、ただぼーっと歩いてたら自動的に、というのも有って気が付いたら家に着いてて、黒田さんに挨拶されてた。いつもなら挨拶した上で、るりちゃんがどんくらい前に来たかとか、確認すんだけど。なんにも無しでエレベーターを呼び、来たエレベーターにぼーっと乗り込む。


 るりちゃんは、ヒカリが好き。

 しかも、憧れてますとかそういうんじゃなく……ぎゅーとかちゅっとか、しちゃう様な意味で。
 
 聞かなかったことにしたいと思えば思うほど、頭の中にはその事ばっかり。

 るりちゃんは、ヒカリが好き……
 るりちゃんは、ヒカリが好き……
 るりちゃんは、ひか……


「ただいま、るりちゃ……」

 エレベーターが止まり、足が掃除の面倒そうな絨毯を踏み、部屋に着いてドアを開け、挨拶を……しかけて、止めた。

 テーブルには、ラップがかかった冷めても良いおかず。
 茶碗とお椀と湯飲みがお盆に伏せてある。
 キッチンから、温かくて美味しそうな匂い。
 

『お帰りなさい、かーさん!!』 


 いつもにっこり笑って出迎えてくれる、るりちゃんの姿は……見当たらなかった。

 
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