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MILK&honey
第4章 「私の御守り」
しまった、と思った。
ぼーっと、油断してたせい。
背中に何かがぶつかって、ぐしゃっと潰れた。
床に何かがどろりと落ちる。
遠ざかる、くすくす笑いの気配。
……振り向いてなんか、やらないんだから。
背中から垂れてくるものが気持ち悪いけど、全部知らんぷりで。
そのまま、窓から外を見ていた。
「ごめん、お待たせ!ホームルームが伸び…………るりっ!?」
「遅ーい、ヒメ」
「どうしたの、それっ!!」
ばたばたと教室に入ってきたヒメこと根本妃愛乃が、派手な音をさせて何かを落とした。
今日はお兄ちゃんのところに、進路相談をしに行かないといけない。
進路相談、または、親に対する作戦会議。
その前に、貸していた辞書を返して貰わないとと思って、待ってたのに。
「もう帰るよー?辞書、ちょうだい」
「えっ?!それより、背中!!……なに、これ……わっ!卵っ?!」
落とした辞書はそのままで私に駆け寄り、落ちてる卵に、騒ぐヒメ。
「うん。卵みたいだね。」
「待って!動かないで、余計汚れちゃう……私、先生呼んでく」
「やめて。」
ヒメは私の顔を見て、泣きそうになった。