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MILK&honey
第19章 「まさか、かーさん?」

「……ヒカリさんっ……?」
思わず名前を呟くと、ヒカリさんは立ち上がって、こちらを見た。
「二人でゆっくり話せ」
「ありがと、サク」
思わず相沢さんの方を見たら、軽く頷いて、ドアの方に戻って行った。多分、ヒメを探しに行くんだろう。
「……お呼び立てして、ごめんなさい」
緊張した、低めの声。
歌声とは少し違うけど、大好きな、ヒカリさんの声。
胸が一杯になって、涙が出そうになる。
初めて会ったヒカリさんは、まるでお人形さんみたいだった。
紫系のアイメイクが印象的な、眼力の有る目元。
可愛いピンク系のチークに、愛らしくきゅっと縁取られた、ローズ系の口元。
艶のある、紫がかったカラーリングの長い髪。低いところで左右に二つお団子が作られていて、そこから出た毛先はくるんと巻かれてる。
オフショルダーのトップスの肩から、紫色とシルバーグレーのストラップが覗いている。胸元は黒のビスチエで覆われていて、そのままスカートに続いていた。
前がミニ、後ろに行くにつれて長くなってるフレアスカートの中に、紫色のチュールのパニエ。ちらちら覗く太腿に走る、紫のガーターとニーハイストッキングが色っぽ……
…………え。
え?
え??
……紫の肩紐……?
……と、
……紫のガーター……?
「……まさかっ……」
「……ええ……」
ヒカリさんが真剣な顔で、こくっと頷いた。
「まさか……ヒカリさんが、かー…………松森光さんの、彼女さんなんですかっ?!」
「ごめん、るりちゃん!!ヒカリは、俺なんだ!!」
「……え?」
「……へ?」
……気が付けば。
憧れの歌姫ヒカリさんの髪型が、突然短髪になっていて。
手に毟り取ったばかりの鬘を握り締めた、見憶えの有る誰か……に、似ている人になっていた。

