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MILK&honey
第21章 「……ただいま。」

「飯どころじゃねーな……」
「え?」
「ごめん。話、終わって無かったよな……先に、話してもいい?」
私が頷くと、かーさんは私の手を引いてソファに連れてって、座って。と言って、隣に座った。
「まず。……俺は、ずっとるりちゃんに嘘を吐いて……は居ねーけど、黙ってた事が有りました。」
かーさんが、真面目な顔で話し始めた。
*
「俺は、巧と同じ仕事に就いてます。
るりちゃんの嫌いな、芸能人です。
しかも、さっき見た通り、女として、歌ってます。……なんでそうなったのかは長くなるから、とりあえず今日は省略で」
「うん」
「最初会った時に、るりちゃんに一目惚れして……
その後、るりちゃんが兄貴の仕事が嫌いだって聞いたから、仕事の事は、言えなくなった。
せっかく一緒に笑ってご飯食べてくれる様になったのに、そんな仕事の人は嫌いとかもし言われたら、すげー悲しいから」
「……うん」
「そのあと姫ちゃんに、るりちゃんはヒカリが大好きって聞いて、もっと言えなくなった。大好きなヒカリが俺だって知ったら、るりちゃんはがっかりすんじゃねーかと思った」
「……ん」
「そういう事を、今まで全部、黙ってました。
るりちゃんを騙してた様なもんです。ごめんなさい。
正直に言わなくって、本当にごめん」
「……ううん……」
「……で。ほんとのことを聞いて貰った上で、俺は、またるりちゃんにここに来て欲しい。これからも、ずっと一緒にご飯食べたい。お帰りなさいって言ったり、お帰りって言ったり、ただいまって言ったり、言われたりしたい……るりちゃんが、嫌じゃなければ。……俺の話は、以上です。」
うん、とかううん、とか。
首を振るとか、頷くとか。
そんな簡単な相槌だけして、かーさんの話を、聞き終わって。
今度は私が話す番だ、って、思ったんだけど。
「……良いのかな……」
口から出たのは、話を聞かせて貰う前と、ほとんど同じ言葉だった。

