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MILK&honey
第27章 「あなたに、貰ってほしくって」

   *

「暑くね?寒くねー?」

「ん。大丈夫」

 ソファに下ろされて、体を拭いて、ふわふわワンピースを着せられて。ついでに足にも似たようなもこもこスリッパを履かせて貰ったところで、光が着替えながら聞いてきた。

「なんか飲む?飯も食わなきゃなー」

「お水、飲みたい……ご飯、ひよこのラーメンでもいいよ?」

「ラーメンもいーけど、連日はなー……あ。」

 冷蔵庫に向かった光が、立ち止まった。

「忘れてた!薔薇!」

「あ!私やるから!」

「ダメ。るりは、これ飲んで、座ってて。」

 水を取り出して私に渡して、落ちてる薔薇を拾い集める。

「……花瓶ねーや。仕方ねー」

 大きいペットボトルの空を手に取るとハサミで切って、即席の花瓶を作って薔薇を生けた。
 それから、散った花片も拾い集めてお皿に入れて、水を注ぐとキッチンカウンターに置いた。

「……と、こっちはこれで、あとは、」

 カメラの入ったバッグを開ける。
 まず、カメラを取り出した。それから、でっかいリボンの付いている、小さな箱を取り出した。

「……さっき、無理矢理みたいに触って、ごめんな。」

「え……?」

「俺、薔薇に焼き餅妬いたんだよねー」

「えっ?!」

 光は、箱の上に乗ってるリボンを、ぽわぽわと掌で弄んだ。

「俺も、薔薇、ちゃんとあげたかった。卒業式のお作法ってやつ、なんも知らなくて……すげー落ち込んだ」

 そう言えば、何度か薔薇のこと言ってたね。
 そんなに、気にしてたの……?
 
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