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MILK&honey
第6章 「……へんな、人……っ」

*
「……お兄ちゃんは、ずるい……自分だけ、あの家から逃げて」
私は、光さんの陰に隠れて、やっと帰って来たお兄ちゃんに、反論した。
光さんが話聞いてくれて、優しくしてくれて、ほっとしてたのに。
お兄ちゃんが、帰ってきたら、光さんちで待ってたことが悪いみたいに言われて、光さんも責められた。
なによっ……お兄ちゃんが、居なかったからじゃないっ!
光さんは、親切にしてくれただけなのに……!
「るり。僕だって高校までは我慢したんだ。お前も、あと少しだけ」
お兄ちゃんは、いつもそんなだ。
勝手だ。
ずるい。
自分だけ、さっさと家から出て行って。
私みたいに、学校で嫌がらせされてた訳でもないのに。
仕事だって、一人で決めて。
ここに住むって事だって。
……それに。
「落ち着いたら、ここに呼んでくれるって、言ったのに……」
隠してるつもりだろうけど、知ってるんだから。
時々誰かが来てるから、私が引っ越したら困るんでしょう?
この前から感じていた事を言ってみたら、図星みたいだった。
彼女だって彼女じゃなくたって、同じだ。
私の居場所なんか、作ってくれる気も無いんじゃない……
だったら、最初から、言わないでよ……って、口に出そうとした時に。
「るりちゃん、巧んとこがダメなら、ウチに来ない?」
光さんが、そう言った。

