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MILK&honey
第1章 君と結婚しても良い?
「あのう……?」
「……はい……?」
美味そうなさくらんぼがぷるんと開かれて、この世のものと思えないくらい美しい響きが耳をくすぐった。
「……兄は、居ますか……?」
「おにーさん……?」
「はい。工藤巧です」
「え」
耳を疑う。
お兄さんが、あの巧。
あの、いつも、思い起こせば最初に会った高校時代から、人を小馬鹿にした態度で失笑混じりにからかって来る、工藤巧。
……嘘だろ。
「君っ……巧の、妹ぉっ?!」
「……はい。」
「ほんと?ほんとに?!……なのになんでそんなにすんげー可愛いの?!」
「光、まだ居るのか。玄関先で五月蝿いよ……あ。」
「お兄ちゃん!」
ほっとした様な甘えを含んだ呼び掛けに、胸が跳ねる。
お兄ちゃん……うん、君になら、呼ばれてみたい。
「……るり」
馬鹿な事を考えていたら、冷血クソ野郎の巧お兄ちゃんが、麗しの妹君の名を呼んだ。
「チャイム鳴らさないで入れたのか?」
「うん。お兄ちゃん居ますかって黒田さんに聞いたら、どうぞってエレベーター開けてくれたの」
「そうか。とりあえず、入れ」
「巧……」
るりちゃんを中に入れてしまう巧に、未練がましく呼び掛ける。
もうちょっと妹さんを見せてくれても良いんじゃないでしょうか、巧お兄ちゃん。