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MILK&honey
第7章 遠慮しないで、ウチにおいで

「似てたっ……はしもとさんとお兄ちゃん、似てた!!」
やっぱるりちゃんも、橋本さん知ってんだね。
橋本さんは、俺達のマネージメントをしてくれている。
性別も見た目も巨漢なんだけど、心はオカアさん……じゃなくてオネエさん。俺達の高校の先輩で、巧にとっては部活の先輩でもある。
「そんなに似てた?」
「似てた!!……それに、光さんとおかあさんも、似てる!」
「へ?」
るりちゃんが、目をきらきらさせて興奮してる。
……似てる?
「俺とお母さん、似てる?」
「うん!」
「声?」
「ううん」
「……顔が?」
「ううん」
「やることが、似てるとか?」
「ううん……そうじゃなくて……ひ、か、る、さん……と、」
るりちゃんは、口をはっきり開けて言った。
「……お、か、あ、さ、ん。音が……似てない?」
……似てる?
似てるか?
「か」と「さん」は共通だけど……。
それって、似てるって言うほどなのか?
「かーさん……!」
「へっ?」
今度は俺が目を丸くしてたら、るりちゃんが、にこーっと笑った。
「ひかるさん、ってちょっと呼びにくいし……かーさんって呼んでも、良いですか?」
「……かー……さん……」
なんか……呼ばれる度に、罪悪感とか、疚しい感とか、男として見られてない感とか、煽られる気がすんだけど……
仕方ないか。自分から言っちゃった訳だし、お母さんって。
それに。
「『分かったわ!』」
「わー!はしもとさん!」
るりちゃんが喜ぶんなら、かーさんだろうがねーさんだろうが、それが一番。
「『これからは、かーさんの事も頼ってね?』」
「はいっ!!よろしくお願いします、『かーさん』っ!!」
るりちゃんは嬉しそうに笑って、一つ結びの尻尾を揺らして、ぺこんと元気よく頭を下げた。

