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MILK&honey
第2章 「大丈夫だよ、気にしてないから」

「お待たせ、るり。ばたばたして悪い」
「ううん。今の人、お仕事のお友達?」
遊びに来たお兄ちゃんの家の玄関で、中から出て来た人と鉢合わせた。
少しだけ玄関で待ったあと、入ってすぐのソファとテーブルのある部屋に通された。
ここは、打ち合わせとかに使う部屋だ。
お兄ちゃんは、音楽関係の仕事をしてる。
簡単に言うと、芸能人。
そう言うと皆にいいなーって言われたりするけど、私は、お兄ちゃんの仕事は嫌い。
「……違うよ。高校の同級生。ミルクティー飲む?」
「うん」
クーラーをつけて、小さい冷蔵庫からペットボトルを出して、グラスに注いでくれる。
「あいつの言ってたこと、聞こえたか?」
「……ちょっとだけ」
巧の妹なの、とか、なんでそんなに可愛いの、とか。
「お調子者でふざけた奴だから、気にしなくていいよ。誰にでも挨拶代わりにああいうこと言うんだ」
「うん。大丈夫だよ、気にしてないから」
私の見た目で何か言ってくる人は、嫌い。
芸能人と同じくらい、嫌いだ。

