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MILK&honey
第2章 「大丈夫だよ、気にしてないから」

「今日は、どうしたの?」
「進路のこと、聞いて欲しくて……そろそろ絞って、決めていかないといけないから」
「ああ……もうそんな時期か。早いね、ついこのまえ高校生になったと思ったのに」
ぽん、と頭を撫でられる。
「来客中だけど、もう皆帰るところだから。それ飲んで、ここで待ってて?」
「ん」
「ごめんな、待たせて」
お兄ちゃんは、顔の前に片手を上げて、困ったように笑って、出て行った。
お客様って、高校の同級生の人たちかな。
そう思いながら、部屋を見回す。
『何かあったら、そのうち、ここをるりの部屋にしても良いからね』
何か、あったら。
あの人と気まずくなったら、
あの人に苛められたら、
あの人にお父さんの子供が出来たら。
引っ越したときにお兄ちゃんが言っていた「何か」は、まだ起こってない。
ここに来させて貰えるほどの、決定的な「何か」は。
「お友達にも、会わせて貰えないんだ……」
ここも、私の居場所じゃない。
そんなの当たり前の事なのに、私はばかみたいに落ち込んだ。

